2021年4月19日 (月)

創業者・個人事業主に事業計画書は必要なのか  

創業者、個人事業主の方から「事業計画書は作ったほうがいいのですか?」という質問を受けます。
私は、絶対に作成したほうが良いと答えています。なぜなら事業計画書は、事業を進める上で、メリットが多いからです。

事業計画書には、「何の目的」(ミッション・ビジョン)で、「どんな姿勢」(方針・行動基準)で、「いつまでに」「どれくらい」「何をするのか」が記されます。目的と手段が明確になります。いわゆる事業のブレがなくなるのです。事業計画書は、目的を達成するガイドラインのようなものです。

確かに事業計画書がなくても、事業はできます。ただ、事業目的が曖昧になったり、他人の意見で流されたり、やろうと思っていることが、先延ばしになったり、目先だけの仕事に追われたりと、事業がどこに向かうのかが、わからなくなることがあるからです。

事業計画を作ってもその通りにはいかない。計画書を作るのが面倒。作ってもお金にはならないという意見をもらいます。本当にそうでしょうか。商品サービスをだれに対して、どう売っていくか、どんな経費を使っていくのかというのは、ある程度予測ができます。もっというと日々、必要とされる経費(特に固定費である人件費、家賃、営業経費)等は、かなりの精度で予測ができるはずです。

であれば、その経費を補い、利益を出し、企業を存続させるために必要な売上をどうやって立てていくのかを計画書に記していくことは、非常に大切なことなのです。もちろん、計画は将来のことですから、計画通りに進みません。

 事業計画書を作成して「今の」将来の方向性を示し、いつまでに何をやるかを明確にすることで、自分、そして従業員や取引先にも、わかりやすく伝えることができます。伝わる精度があがり、日々の行動、判断基準、事業のスピードが格段にあがるため、成果が出てくるのです。

ぜひ、創業者、個人事業主こそ、事業計画書を作成してください。

2021年3月15日 (月)

補助金をうまく活用するには ~5つのチェック~

 これから中小企業が活用できる補助金制度の公募が始まります。事業再構築補助金、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金…等々。

「補助金を活用したい」と考える事業者は多いと思いますが、補助金を活用するための留意点を述べたいと思います。

 ①目的、②対象経費、③時期 ④資金繰り ⑤事務負担

 補助金を活用するかどうかは、最低この5つを確認して決めてほしいと思います。

〇目的(事業目的にあっているか)
 補助金活用の目的は、事業に勢いをつけること、付加価値を上げることです。補助金獲得を目的にしてはだめです。そのため、補助金制度の趣旨・目的が、これから実施しようとする事業と整合性がとれているかどうかチェックしましょう。
 たとえば、新規事業、販路開拓、設備投資等、それぞれの補助金に趣旨・目的があります。業態変換であれば 事業再構築補助金、機械導入で生産性向上を目指すのであれば、ものづくり補助金、販路を広げたいのであれば小規模事業者持続化補助金、IT導入で事業を効率化したいのであれば、IT導入補助金等です。補助金を獲得するために事業をするのではありません。あくまで事業を推進するために補助金を活用するのです。

〇対象経費
 事業の全額が、補助金対象にはなるとは限りません。実施事業の経費が対象経費になるかどうかをチェックしましょう。ほとんどの補助金は人件費が対象となりません。設備についても対象となるものならないものがあります。また設備でも「汎用性」のあるもの(例:パソコン)等は、補助対象とならないケースがほとんどです。

〇事業の実施時期と補助対象期間があっているか
 事業実施の時期と、補助金の実施期間が重なっているかどうか。事業実施は「交付決定」後の実施となります。
 補助制度の流れは、申請→審査→採否通知→交付決定→事業開始・支払い→完了報告→精算の順番で実施されます。事業再構築補助金等では、まれに事前着手分も対象となるケースがありますが、多くは「交付決定」後の事業実施(支出分)が対象となります(交付決定前は、たとえ事業を実施したとしても、補助金の対象にならないので注意が必要)。事業のスケジュールと補助対象期間が重なっているかどうかを確認しましょう。

〇資金繰りは大丈夫か(対象経費は先払い)
 補助金は、ほぼ精算払いです。たとえば1千万円の事業で2分の1補助(500万円)であれば、事業にかける1千万円は、まず自社で支出し、事業完了の手続き後に、会社に500万円が支払われます。そのため資金繰りについて、自己資金で行うのか、融資等を受けるのか計画が必要です。
  
〇事務手続きの負担
  申請・申請後の事務手続きは、初めての人にとって、かなり時間と労力を要します。補助金の種類や申請内容にもよりますが、申請に慣れていない人であれば、少なくとも申請段階で2~4日、事業報告、精算手続きで3~5日程度の事務手続きの時間を要すると考えたほうが良いと思います。

 補助金は申請しても必ず採択されるわけではありませんが、多くの補助金が、年数回公募を実施しています。事業の実施時期に問題なければ、再度申請するのもよいでしょう。また不採択となった場合も、事務局に問い合わせれば、審査員のコメントを教えてくれることがありますので、次の申請への参考として、問い合わせるのもよいでしょう。

 なお、申請・事務手続きにおいて、不明な点は、事務局に確認しましょう。不明な点をそのままに、申請や事務手続きをして、補助金が出ないと元も子もありません。わからない点は、事務局や専門家に相談しましょう。

2021年2月19日 (金)

補助金、助成金、給付金について

~補助金、助成金、給付金の違い~

今、国、地方公共団体から、中小企業者・起業者に向けて、様々な給付金 助成金、補助金の支援策が出ています。

さて、この「〇〇給付金」「○○助成金」「〇〇補助金」等のよく似た名称の違いの質問を受けることがあるので、その一般的な違いを説明します。

〇給付金 → 要件を満たせば「一定額」を支給 例 持続化給付金 家賃支援給付金

〇助成金 → 要件を満たせば「一定の割合・一定額」が支給 厚生労働省の施策に多い 例:雇用調整助成金 キャリアアップ助成金

〇補助金 → 要件を満たせば「一定の割合」(2分の1、3分の2が多い)が支給。助成金との違いは、審査がある、精算払い等 経済産業省の施策に多い 例:小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金

 これらは明確な違いがあるわけではなく、「〇助成金」であっても「補助金」のように精算払いをする内容もあります(その逆もあります)。

 コロナウイルスの状況下で大幅な売上減少等の影響を受けている事業者の方に対して、給付金、助成金については、要件が当てはまる事業所であれば、申請を勧めています。補助金については、審査、補助金の対象経費、対象期間等を考えて行う必要があります。補助金の活用については、このブログで記していいきたいと思います。

3月から申請受付が始まる給付金、補助金の情報をアップします。

〇「一時支援金」(給付金) 
 緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛により影響を受け、売上が減少した中小事業者に対して、支援金を給付。
 https://www.meti.go.jp/covid-19/ichiji_shien/index.html

〇「事業再構築補助金」(補助金)
 新分野展開、事業・業種転換等の取組を通じた規模の拡大等を目指す中小企業
 https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.htm

2021年1月27日 (水)

ミッション(使命)は心のドライブ

ミッションは心のドライブ、ビジョンは踏ん張れる心の源

セミナーや相談で、起業者の方から「事業する上でミッション(使命)とかビジョン(目標・あるべき姿)とか必要なんでしょうか?」という質問を受けます。起業するうえで、ミッションは絶対必要なものでありません。ミッションがなくても商品・サービスがあれば、事業は実施できます。じゃあ、なぜミッションやビジョンが必要なのか?

私からは、ミッションは「心のドライブ」、ビジョンは「踏ん張れる心の源」と伝えています。

事業は、うまく行くことばかりでありません。むしろ予期せぬことが多いのです。商品が売れない、人が採用できない、資金が不足してきた、従業員が辞める等々、様々なことが起きます。その時に自分の気持ちを支え、踏ん張れるのが、ミッションであり、ビジョンなのです。

起業者に上司はいません。自分を除いて、だれも判断してくれませんし、自分に代わって動いてくれません。自分がトップです。苦難が起きても、支えるのは自分自身です。その時に、事業の原点、自分が実現したいこと、貢献したいことを確認することで勇気が湧いてきます。

さらに、ミッション・ビジョンに照らして物事を判断していくようになるので、軸が明確で、仕事に「ブレがなく」「決断も早い」のです。これは、商品開発、人の採用・教育等においても現れてきます。将来の事業の在り方が大きく変わっていくのです。

ミッションは、起業段階から、むしろ事業が小さい時にこそ、作っておくことをお勧めします。

2021年1月 5日 (火)

言葉の「ない」を「ある」に変えてみよう

日々、起業者の方から受ける相談を内容別に大きく分けると、①販売、②人材、③資金の3つで、これらの相談が8割を占めます。

 売れない、人がいない、資金が確保できないのはなぜ?と聞くと、「売れないのは営業員がいないからだ」「採用できないのは知名度がないから」「資金が確保できないのは信用がないからだ」等、いろいろと理由が出てきます。

 そこで、そんなときは、質問を少し変えて「何があれば売れますか」「どんな状態が売れる時ですか」「もし人が採用できるとすれば、何が必要でしょうか」「資金確保の方法は何があるのか」等々、話すようにします。

 どうでしょうか。言葉の「ない(否定)」を「ある(肯定)」に変えるだけで、前向きな言葉に変わってきます。
「ない」を「ある」に変えることで、①可能性を見るようになります。②解決のための仮説を立てることができます。③前向きな行動につながります。

 否定質問が全て悪いわけではありません。課題の原因を絞り込んでいくときに必要となることもあります。ただ考えを広げたり、可能性を見い出し行くときは肯定質問を意識的に使っていくのがよいでしょう。
 もし、日頃自分の言葉のなかで「ない」という言葉が多いなと感じたら、その言葉を少し「ある」と変えるだけで、ずいぶんと思考が変わってくると思います。

2020年12月17日 (木)

共同設立か単独設立か 創業者の会社設立

・共同出資・共同経営のメリットとデメリット 

 創業の前後に会社設立の相談をよく受けます。最近非常に多い相談は「みんなで協力して事業をやりたいので、会社を共同設立・共同経営したい」との相談を受けます。
 私から「共同設立の理由は何ですか?」と質問すると、その理由として ①みんなと一緒ならやれる気がする(個々の専門能力を発揮した協力関係)。②自分の弱点を補ってくれる(相互補完)。③資金が集まる(自己資金の充実)等です。
 共同設立の相談が来るときは、みんなと話し合った後に来るので、モチベーションが高く、「今すぐにでも一緒にやるぞ」とばかりの感じです。

 私がお伝えするのは、良い面だけでなく、デメリットも説明して、よく考えて最終的にお決めください。と答えています。

 共同設立後のよくある課題・トラブルケースとして、①責任があいまい  ②合意形成に時間がかかり、スピードが遅くなる  ③経営の方向性について意見の食い違い  ④報酬・分配額、借金の負担等の金銭関係

・創業時の会社設立は単独設立がベター

 実際私が見てきた共同設立・共同経営した起業者の9割の方は、その後お互いの意見が合わなくなり、誰かが退社・退任し、結局1~2人になった。あるいは事業を廃業した等のケースです。一方うまく行くケースもありますが、その方々に、「もう一度、会社を設立をするとしたら、共同経営しますか」と聞くと、そのうち8割位の方は、「もし、もう一度創業する時は一人で立ち上げます」と答えています。
 共同経営の最大のメリットとされている協力関係、補完関係については、単独設立であっても会社との取締役・顧問就任、雇用・業務委託関係等で、十分に協力体制は組めます。資金面についても借り入れ等多様な方法を取ることができます。

 共同経営はメリットもありますが、むしろ創業時は、単独で設立、決断・責任は自分がとり、スピード経営していくというのが限りなくベストに近いベターだと思います。
 ただ、どうしても共同設立をしたい場合は、少なくとも(株式会社の場合)社長の持ち株比率は3分の2以上(株主総会特別決議要件)にして、経営者、最終責任者は社長であることを示す。意見が割れた時も社長の判断が最終決定となることを決める。さらにその上で共同設立者とは「株主間合意書」を作成して、経営方針をどうするか、もし共同設立者が会社を辞める、死亡した場合に株式をどうするか等の取り決めをすることが大切です。

 

2020年11月12日 (木)

どうすれば「買っていただけるか」

~「買っていただける」を考える~

 コロナウイルスに関する報道が、毎日繰り返し流されていますが、少なくとも私の周りの多くの事業者から、顧客の注文が戻りつつある等の話しが多くなってきました。少しずつ経済活動は戻りつつあると感じています。

 今、起業者として何を中心に行うべきか。
 
 まだ商品ができていない起業者は別として、すでに既存商品・サービスを持つ起業者の方は、ぜひ「今の」商品・サービスを見直してください。
見直すといっても、商品・サービスを大幅に変更するという意味ではありません。今の商品を自分自身がきちんと理解しているかどうか、今の商品をどうしたら買ってもらえるのかを考えるのです。全体的に売り上げが下がっている今の状況下では、既存顧客と周辺顧客に「既存商品」を買ってもらう浸透戦略が、早く確実に効果が出てくるからです。

考える視点は次の3つです。

 ①顧客はだれか ②顧客に買ってもらえる理由は何か ③顧客に商品サービスが伝わっているかどうか。
  これらが明確でしょうか。言語化(メッセージ)はできてますか。顧客に伝えてますか、伝わってますか。

今は、いかに買っていただけるかを最優先に考え、実行してください。浸透戦略は、比較的予算をかけず、すぐに実行できます。ぜひやってみてください。

2020年10月13日 (火)

価格におもいを

~価格「を」決める~

 ある経営者の方は、創業後3年以上が経ち、顧客が増え、売上が増え、毎日毎日一生懸命働いていますが、資金が増えず、役員報酬もさほど増えず、利益は出しているものの、むしろ借入金が増えている。こんな状況に陥っているケースがあります。

「売上があがったのに、こんなに働いているのに、なぜか」

こういったケースは、ほぼ間違いなく商品・サービスの価格を低く設定していることにあります。そして、経営者は「安くしなければ売れない」、「価格を上げるのは、顧客に対して申し訳ない」と思っておられます。(思い込んでいる)

価格「で」売ろうとして、価格「を」決めてないのです。顧客は「価値」に対してお金を払っています。価値を感じれば、適正値段で買ってくれます。価値を提供することに焦点をあてることが大切です。

たくさんモノが売れても、安く販売することで、経営が苦しくなってしまえば、経営者や従業員も元気がなくなり、やがて品質が落ちたり、最悪、商品が提供できなくなったりします。価格を低くして販売することは、自分や従業員がつかれるだけでなく、価格を販売の道具として使ってしまうため、商品開発や販売へのアイデアや知恵、意欲もなくなってきます。さらにいったん価格を下げると今度はあげにくくなる弊害もあります。

まさに価格は経営の生命線です。この商品はいくらにすればよいのか、これは経営者がしっかりと考える必要がありますが、結構、価格設定の根拠があいまいだったりします。

「安く売る」「安くすれば買ってもらえるだろう」ではなく、「この値段で売るには何が必要か」「どんな価値を提供すればよいか」「その価値をどう伝えるか」

品質、機能、かけた時間、イメージ、考え方、姿勢、こだわり、ストーリー、顧客の声等の付加価値を顧客に伝えていく。これらに意識を向けることです。

2020年9月18日 (金)

創業融資のポイント(開業計画書) 

創業時は、設備・運転資金が必要です。自己資金のみで資金を回せればよいのですが、創業者のおよそ7~8割位の方が、創業前・創業後1年以内に融資の申し込みをしています。

質問で「融資を受けるには何が大切ですか」とよく聞かれます。答えは「きちんと返済してくれるかどうか」です。そのためには、「事業(開業)計画書」を作成し、金融機関の方に事業内容、返済計画をしっかりと説明することが必要です。

事業計画書のポイントは、次のとおりです。

〇商品&対象顧客:商品の特徴、独自性、差別化、主な顧客層・顧客のニーズ等

〇開業時の資金: 自己資金、設備資金と運転資金と内訳。できれば自己資金は、開業時資金の最低4分の1は、ほしいところ

〇創業者の経歴: 創業内容に関する業務経歴、学校、資格等  

〇市場、見込客等: 見積書、受注書、契約書、あるいは商談のメールのやりとり等

〇売上・経費とその根拠、利益と返済額

(売上算出にあたっては、客単価×客数、㎡あたり単価×売り場㎡(小売業)、一人当たり売上×従業員数(サービス業)等がよくつかわれる)

このあたりを根拠だてて、しっかり説明できれば、融資の可能性はぐっとあがります。

2020年9月 3日 (木)

日本一シンプルな「開業計画書」

創業準備段階で、最も多い相談が「事業計画書について」。 その目的は、事業のブラッシュアップ、融資、補助金の申請等です。創業者の方の多くは「今回初めて事業計画書を書きます」なので、そんな方のために、私がよく使うのがこの計画書フォーマットです。

 開業計画書  kaigyokeikaku20kouko20shusei20ban.xlsx

これは10年位前まで、日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)が、創業者のために使っていた計画書を少しだけ、私なりにアレンジしたものです。おそらく日本で最もシンプルな開業計画書のフォーマットで、初めての方も書けるのではないかと思います。

 なぜ、事業計画書が必要なのか。その目的は3つです。 ①「今」の事業の方向性(戦略と戦術)を決めること ②実行時の課題の整理(無駄とムラを極力なくす:頭をすっきりさせる) ③関係者(銀行、取引先)との情報共有です。
 
 事業は、何のために→何を→どうやって実施するのか、実行にあたって方向を決め、課題を整理し、無駄をなるべく無くすこと、そのために計画を組むのです。実行後、全て計画どおりに行くとは限りませんが、「今」決めた方向性に事業は進んでいくのです。あとは環境変化に応じて、修正を加えていくのです。事業計画がないと、この修正も誤った修正をしてしまいます。事業計画は大切なのです。

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